都市河川、ダム、湖沼での水質汚濁の原因はさまざまですが、一般的には落ち葉や植物の残骸、動物や魚などの糞といった有機物の体積、窒素やリンなどの栄養過多、気温の影響、酸素不足などがあります。
流れのゆるやかな都市河川、ダム、湖沼などの水質汚濁の要因の一つとして、アオコの発生もあります。アオコとは絵の具を流したかのように水面が緑色になる現象です。アオコは非常に小さな微細藻類です。藍藻(らんそう)と言われる藻類が大量発生し、広範囲に水面に広がることから、水が変色したように見えます。
流れのある河川であれば、海へ流れるため増殖することはありませんが、水の出入りの少ないダム、湖沼などで増殖しやすくなります。
自然状態では窒素やリンは落ち葉や動物の死体の分解によりほんの少しずつ供給されるため、アオコが大量発生することはありません。しかし、人間が生活排水、農薬や肥料などを使うと、自然の状態をはるかに超えた量の窒素やリンを排出します。排出された窒素やリンは下水などを通って、都市河川、ダム、湖沼などに流入し、富栄養化(栄養が増え過ぎた状態)を引き起こします。窒素やリンはアオコの栄養分のため、富栄養化したダム、湖沼でアオコは大量増殖しやすくなります。
また、アオコは水温が20度を超えると活発になるため、春から夏にかけて大量増殖します。アオコは、独特の青臭いカビのような臭いを発生させるため、その嫌な臭気も問題になります。
富栄養化した都市河川、ダム、湖沼、アオコの発生したダム、湖沼では、水中に酸素が届かず酸素不足になり、魚が生きづらくなります。魚の糞尿や植物の残骸は水底に堆積しますが、酸素が不足した場所では好気性細菌が正常に働かず、死骸や植物の残骸などの有機物が分解されずに腐敗し水質が悪化します。
植物の残骸、ごみ、鳥や動物のフンなどが水底で堆積し、空気に十分に触れることができずに腐敗するとヘドロになります。ヘドロの中にはダイオキシンなどの有害物質を含むものや、アンモニアやメタンなどの悪臭ガスを発生することもあり、嫌な臭いの原因にもなっています。