畜産場で臭いが発生する場所は、堆肥舎、家畜舎、サイレージが主な発生場所になります。
堆肥舎の主な臭い成分はアンモニア、低級脂肪酸、硫黄化合物などです。堆肥の処理を上手に行えており、好気的に発酵しているときにはアンモニアが臭いの原因になります。アンモニアは尿に含まれる尿素が、糞中の微生物により分解されることで発生します。アンモニア臭は糞便の処理を始めてから2〜3日でピークに達します。そして、堆肥を混ぜる作業の直後に再び強い臭いを発します。
一方で、堆肥の発酵が嫌気状態になっていると、トリメチルアミン、硫黄化合物、低級脂肪酸が発生し、強烈な臭いを放ちます。硫黄化合物や低級脂肪酸などの臭いはわずかな臭いでも違和感となります。アンモニアに比較してこれらの物質は最大で2万倍~4万倍の臭いの強さを持つと言われています。嫌気状態の堆肥の中では嫌気性菌が栄養分を分解して臭いの原因物質を作り出しています。つまり、糞便を堆肥にするつもりで作業をしたのに、どんどん栄養分を悪臭に作り変えられてしまうということです。
堆肥舎の次に臭いが発生する場所は畜舎です。糞尿の臭いや、尿素を糞便中の微生物が分解するときに発生するアンモニアが主な原因です。掃除しきれなかった敷料(藁やおが粉等)や、床などに付着した糞尿からもアンモニアは発生します。
また家畜が食べ残した飼料が腐敗することで腐敗臭も発生します。
堆肥舎や畜舎だけでなく、サイレージの臭いも問題になることがあります。サイレージの発酵がうまくいかない場合に悪臭が発生します。